アニメ「スキップとローファー」(おすすめ・考察)なぜ志摩くんは、美津未と子役時代の自分が重なって見えたのか?

作品紹介とおすすめポイント

ひとこと作品紹介

あるあると少しの勇気で始まるハッピースクールライフコメディー。

こんな人におすすめかも

元気になりたい。取りこぼした思い出がある。愛情、友情、家族愛。七転び八起き。ほっこり。新鮮な恋愛。挫折。自分をちょっと見失ってる。

©️高松美咲/講談社 ©️「スキップとローファー」製作委員会

考察

ここからは一部に作品のネタバレになるような内容を含みます。そのため、鑑賞後に読んでいただくことを推奨します。

なぜ志摩くんは、美津未と子役時代の自分が重なって見えたのか?

志摩聡介

主人公の高校1年生、岩倉美津未のクラスメイトで女子の視線を集める人気者。小学生時代は子役でドラマ出演もしていた。本人曰く、子役は母さんが喜ぶからしていた。あることがきっかけで芸能界を引退し、現在は演劇や演技からは遠ざかっている。しかし、文化祭の催し物で劇をすることに。そして本人も役者として参加することになるが、過去のこともあり、あまり乗り気ではない。

エピソード12。文化祭。クラスの催し物である演劇の最終公演に出演中、自分の本当の気持ちに気づいた志摩くん。彼がずっと持っていた感情は嫉妬。

どんな人に対する嫉妬かというと、一生懸命に一途に好きなものは好き、まっすぐに楽しくやっている人。実際に浮かんだ顔は美津未と、兼近先輩。

これ逆にいうと、そういう人に志摩くんはなりたいと思ってるのかもしれないですよね。自分の気持ちとしては、本当は一生懸命やりたいし、やりたいことを見つけたいし、一途でいたいし、楽しくしたいし、だけど、それがわからなくて、心のどこかにモヤモヤを抱えてきたのかもしれません。

自分の今持っている感情が何かわかった後、舞台袖にはけて、暗がりからそこに差し込む光を見ている彼は一体何を思っていたんでしょう。きっと、自分もそっちに行きたい、という思いが芽生えたんじゃないでしょうか。

話は少し戻ります。エピソード10で志摩くんは、文化祭の準備に奔走してキャパオーバーになりながら頑張っている美津未に、自分の子役時代を重ねるんですけど、本人の理由としては、転びそうだから傷つきそうだから、あの頃の自分と重なる、っていうふうに思ってたんです。

だけど、ほんとにそうなのか、それだけで重なるかな、どうなんだろうっていうところがちょっと疑問、で最終回まで見て志摩くんの本当の気持ちがわかったとき、彼の頭に浮かんだ人物は二人、先にも述べた美津未と兼近先輩。

だから美津未は志摩くんにとって嫉妬の対象なわけです。で、その対象に、なんで子役時代の自分が重なって見えたのか。

それはきっと、子役時代の転びそう、傷つきそうな姿が重なっただけじゃなく、子役時代の志摩くんが、美津未や兼近先輩みたいな一生懸命さ、そして一途さ、好きなものを好きで抱く、まっすぐな気持ちや楽しさを持って過ごしていたからじゃないか。

本人はまだ気づいていないけれど、心の中にそのころの気持ちが残っているから自然と無意識のうちに、美津未と子役時代の自分とが重なって見えたんじゃないのかなっていうふうに思いました。

どうでしょう、そうすると、そういうふうに考えるとなんだろう、傷ついて悲しかったことがあったせいで、もうあんまり思い出したくもないような、そのころのことを、また違った見方で振り返れる日が来るんじゃないか。

クラスの演劇の時に、目の前の光へと一歩踏み出した志摩くん。母さんのためにとやっていた子役時代にも、なにか光を見出せる日が、いつか来るかもしれないですよね。

エピソード10で、幼なじみのクリスが、2人でファミレスに行った帰り道に志摩くんへ、こんなことを言っていました。

楽しそうだったよ。昔はオレらの中で、お前が1番。

アニメ「スキップとローファー」エピソード10

次に鑑賞するなら

漫画:高松美咲『スキップとローファー』

おすすめポイント
  • アニメの原作です。ぜひ。

楽曲:BUMP OF CHICKEN「なないろ」

おすすめポイント
  • いつも思い出すあの頃がある人へ
  • 前向きになれる一曲