前回は映画『イエスタデイ』についてでしたが、今回は米津玄師「さよーならまたいつか!」について綴っていきます。それではいきましょう。
目次
MV 米津玄師 – さよーならまたいつか! Kenshi Yonezu – Sayonara, Mata Itsuka !
米津玄師「さよーならまたいつか!」歌詞1番の解釈
Aメロ
米津玄師「さよーならまたいつか!」、いい歌ですよね。
自分なりにちょっとこの歌の歌詞の1番を解釈していきたいと思います。
まずAメロですね。「どこから春が巡り来るのか 知らず知らず大人になった」
これはどういうことなんでしょうか?
春というのはプラスマイナスで言えばプラスのイメージ。なので、満ち足りた気持ちとか幸福感とか、そういった種類のものを表しているのかなあと。
そうすると、そういう素敵な感情、気持ちみたいなものがどこから生まれるのか、この歌詞の書き手は知ることなく、大人になっていったっていうことが最初でわかります。
次は「見上げた先には燕が飛んでた 気のない顔で」
「もしも私に翼があれば 願う度に悲しみに暮れた」
この燕は何でしょう。
例えば、書き手の欲しいものを、もとから持っているもの、というふうに捉えてもいいかもしれません。
なので、元からあるものですから、特に自慢とか、誇らしいな、とかもなく、ただただ当たり前に空を飛んでいる。
ちなみに日本では、燕は春に飛んでくる鳥です。1つまりこの鳥は、春がどこにいつやってくるかを知っているということになりますね。
そして、書き手は燕のような翼を持っておらず、日々悲しんでいた。
「さよなら 100年先で会いましょう 心配しないで」
急にお別れがきましたね。これは誰から誰に対しての、さよならなんでしょうか。
おそらく、現在のあまり良い境遇ではない自分から、自分が描いた夢や理想に対してのさよならなのではないか。
たとえ今は叶わなくとも、それは遠い未来に実現するかもしれない。
そういう願いを込めて。そして、その夢や理想が軽やかに未来へと羽ばたいていけるように「心配しないで」?
Bメロ
「いつの間にか花が落ちた 誰かがわたしに嘘をついた」
そこは春ではなくなった?なかった?ということでしょうか。
どんな噓をつかれたか。春が幸せや満ち足りた気持ちだとすると、他人が示した幸福観でしょうか。
例えば昔の、家柄の良い所にお嫁に行けば幸せになれる、良い大学に入って有名な会社に就職すれば一生困らない。
こういった言葉は、少なくとも「わたし」にとっては真実ではなかったということかもしれません。
「土砂降りでも構わず飛んでく その力が欲しかった」
「その力」は、先に出てきた燕の翼のことでしょう。しかも、ただ飛ぶだけではなく、土砂降りの中、つまり逆境の中でも飛ぶことのできる力強さを備えた飛行。
サビ
「誰かと恋に落ちて また砕けて やがて離れ離れ」
まず、ここはそのまま恋人との別れととることができるでしょう。
また、恋を何かの例えと捉えることもできます。それは、夢や理想かもしれないし、尊敬できる先輩や友人、先生に対する思い慕う気持ちなど。
それが何かの事情で、関係を維持できなくなってしまった。
そういう風にも解釈できそうです。
「口の中はたと血が滲んで 空に唾を吐く」
「はたと」は急に気づく様を表しています。気づけば口の中に血が滲んでいた。書き手は傷ついていたということになる。
そして、その後「空に唾を吐」いていることから、傷の原因が自分ではないことがわかります。
つまり、「空」とは天を表しているとも考えられますから、自分ではどうしようもない不可抗力や宿命のようなものがあった。
しかし、書き手はそれを受け入れず、傷つきながらも反抗する気持ちがあるのでしょう。
「瞬け 羽を広げ 気儘に飛べ どこまでもゆけ」
自分自身は今、躓いてしまったけれど、私の夢や理想よ、それらを決してあきらめたりはしない。そんな強い思いと困難な夢や理想の鮮やかなきらめきが想像できます。
「100年先も憶えてるかな 知らねえけれど さよーならまたいつか!」
書き手は、その夢や理想が容易く叶うものではないことを知っています。たとえ100年先であってもそれらが実現されているかはわからない。
それでも、全力で別れを告げる(「!」を使っているところから)、いつになるかわからない再会を祈りながら。
そのまなざしは下の地面ではなく、遠く上の方に向けられています。
次回予告
今回は米津玄師「さよーならまたいつか!」について綴ってみました。次回は映画『ザ・ハッスル』の予定です。以下に「関連アイテム」や「次に鑑賞するなら」を並べてありますので、よかったらご覧くださいませ。
関連アイテム
連続テレビ小説 虎に翼 さよーならまたいつか! (NHK出版オリジナル楽譜シリーズ)
こんな方におすすめかも
- ちょっと歌いますか、弾きますか。
次に鑑賞するなら
「さよーならまたいつか!Sayonara, Mata Itsuka !」と同じように時間的なダイナミックさを感じさせる2曲です。
L’Arc~en~Ciel「Pieces」-Music Clip-
Mr.Children 「pieces」
- 「燕(ツバメ)精選版 日本国語大辞典(https://kotobank.jp/word/%E7%87%95-37938)」 ↩︎