前回は『ダンサーインParis』についてでしたが、今回は映画『LALALAND』についての感想を綴っています。早速いきましょう。
目次
あらすじ
夢追い人の街、ロサンゼルス。女優志望のミアは、連日オーディションに落ち続けていた。そんなある日、ピアノの音色に誘われて入ったジャズバーで、ピアニストのセバスチャン(セブ)と出会う。後日、ミアは、あるパーティ会場で不機嫌そうに演奏する彼と再会。初めての会話でぶつかりあう2人だったが…。
ここからは一部に作品のネタバレになるような内容を含みます。そのため、鑑賞後に読んでいただくことを推奨します。
めくるのが楽しい大人の絵本(感想)
ある丘の上で
やっぱりあの2人が一緒にいるシーンが好きです。特に序盤と最後のシーン。序盤は2人があるパーティーで初めて出会って会話を交わした後ですね。
それがすごく印象的でそのシーンを見るとちょっとうるっときてしまうんですけど(一般的には感動的な場面ではない)、パーティーの終わり、車のところまでミアを送って行こうとするセブ。そこで2人のダンスが始まる。
歌と音楽とダンス。これがですね、特にその理由があるわけじゃないんですよね。生まれも育ちも違う2人がなぜかお互い惹かれ合っている。それを歌と音楽とダンスで表現する。
遠くにはLAの街並みでしょうか、ミッドナイトブルーに染まる空の下、音楽に合わせた2人の歌やダンス。それはそれはとても華やかでロマンティックで美しいものでした。
で、その華やかさやロマンティックっていうのは現実に起こっていないタラレバの世界にまで入っていくことになります。これが最後の場面ですね。
タラレバの世界
このタラレバの世界、夢の世界、創造の世界、この世界の映し方もすごく美しかった。音楽もダンスも全てが華やか。そしてタラレバな分、少し感傷的な気持ちにもさせられると。
『LALALAND』には理想や夢、浪漫、そういったものが詰め込まれている。その分、物事の因果関係が薄い気もしました。そこで思い浮かんだのがイギリスの小説家フォスターのストーリーとプロットの定義です。
ストーリーとプロットの違い
彼によれば、ストーリーは時系列順に出来事を並べること。プロットは因果関係の順番に出来事を並べることだそうです。振り返ってみると、『LALALAND』は時系列順に話が進んで行くんですが、そこにはあまり因果関係が見出せないことも多いです。
特にセブについて。なぜ彼はジャズが好きなのか、どうしてジャズピアニストになろうと思ったのか。ジャズを復権させることがお店を開くことになるのはなぜ。どうしてミアのことを好きになったのか。どこに惹かれたのか。そしてなぜ別れる決断になったのか。とか、そういったものがあまり明示されてない。
ただ起こったことを、そしてあったかもしれないことを美しく華やかに描いている。だから、絵本のページをめくるように、目の前で繰り広げられるダンス、奏でる音楽や歌を美しい夢を見ているような気持ちですごく楽しめました。
現実には、最後に描かれていたLAのハイウェイ、高速道路のように渋滞ばかり。うまくいかないことが多い。現実を見ろと言わんばかりに。
でもだからこそ翻って、美しいもの、理想的なもの、夢のようなもの、そういったものがより強調されている。それが、この作品の魅力の1つではないでしょうか。
今回は映画『LALALAND』の感想を綴りました。以下に「次に鑑賞するなら」を並べてありますので、よかったらご覧くださいませ。
次に鑑賞するなら
椎名林檎ー人生は夢だらけ
こんな方におすすめかも
- 『LALALAND』みたいな世界観で生きていけたら。
Paradise Kissー矢沢あい
こんな方におすすめかも
- エンターテインメントの華やかさに惹かれた。