映画『アメリカン・フィクション』:小説家の頭の中を可視化したら?

前回は映画『BLUE GIANT』についてでしたが、今回は映画『アメリカン・フィクション』について綴っていきます。あらすじ等については、映画.comなどをご覧ください。それではいきましょう。

映画『アメリカン・フィクション』:小説家の頭の中を可視化したら?

©MGM Studios

全体の感想

映画『アメリカン・フィクション』面白かったです。いわゆる「黒人のエンタメ」から利益を得る世間の風潮にうんざりし、かねてから不満を抱いていた小説家。

そんな彼がひょんなことから自分で奇抜な「黒人」の本を書くことに。このことをきっかけにして、彼は自身が軽蔑している偽善の核心に迫っていくことになった。

その過程で、親と子、男と女、黒人と白人、同性愛者と異性愛者、事実と虚構、小説家と出版社、身内と他人、兄と弟。さまざまな二項対立の諸相が描写されていく。

これらが、主人公がちょっと皮肉屋で、場面場面にユーモアが盛り込まれており、心地の良いジャズとともに描かれているのがよかったですね。あと映画の構造も面白かった。特に最後の場面。

小説家の頭の中を可視化したら?

1番見ていてワクワクしたのが、小説家の主人公が実際に小説を書いていく場面。

まず、場所は書斎でしょうか。格調高い机、向かいには座り心地の良さそうなソファ、壁一面の本棚。これはいかにも重鎮の小説家が仕事場としていそうな場所。

さて、時間は夜ですね。薄暗い中、パソコンの画面の明かりと、窓からわずかに外灯の灯りが差し込んでいる。机に向かう主人公がパソコンを使い物語を綴り始めると、その部屋の一角に、まさにその場面が再現される。登場人物が立ち現れる。

そして、その登場人物たちがやりとりを始める。しかし、途中、話に行き詰まると登場人物自ら疑問を呈す。それってどういう意味?俺ってこんなこと言うのか?と言わんばかり。そして主人公の小説家がまたそれに応じ、物語が紡がれていく。

小説家の頭の中を見える形で表現していて、ここの場面はすごく面白かったです。

今回は映画『アメリカン・フィクション』について綴ってみました。次回は漫画『スキップとローファー(9巻)』の予定です。以下に「次に鑑賞するなら」を並べてありますので、よかったらご覧くださいませ。

次に鑑賞するなら

映画『小説家を見つけたら』

こんな方におすすめかも
  • 小説家の出てくる映画が観たいな。

映画『アメリカンヒストリーX』

こんな方におすすめかも
  • アメリカの差別について、特に加害者に焦点を当てた映画を観たいな。