前回は映画『LALALAND』についてでしたが、今回は映画『カモン・カモン』についてです。あらすじなどは映画.comや公式サイトをご覧ください。それではいきましょう。
ここからは一部に作品のネタバレになるような内容を含みます。そのため、鑑賞後に読んでいただくことを推奨します。
目次
過去からの2つの贈り物、そして今大切なものは(感想)
1つ目の贈り物
すごくいい映画でしたね。ただ、人によってはすごく退屈になるのかもしれないなぁ。甥っ子のジェシーを好きになれるかどうかで見方が変わってくるかもしれないですね。
さて、この映画では、ジェシーの伯父のジョニーが子供たちに未来についてインタビューしていくというシーンが度々あって(ジョニーはラジオジャーナリスト)、で、その中で記録を取ることの意味、音声を録音することの意味っていうのをジョニーが言ってるんですよね。
この場面すごく良い場面なんですよ。確かジェシーを連れて初めてニューヨークの川沿いですかね、そこを歩いてる中で、ジェシーはジョニーの録音機材をつけて、いろんな音を取っている最中。
そんなときにジョニーが、平凡なものを永遠にできるってすごくクールだよねっていうふうに記録することを表現してジェシーに伝えます。それに楽しいしっていうのを付け加えながら。
その時の2人の様子とか、空が高く見えるカットだとか、周りの雰囲気だとかが相まってとても素敵な場面になっています。記録することっていいなって思いました。
2つ目の贈り物
それともう1つ好きな場面っていうのがあって、それはジェシーがジョニーの質問に答える場面。ジョニーがジェシーに対してずっと同じ質問を最初からしてるんですよ。
でもジェシーは絶対にそれに答えようとしない、もしくは違う話をするか、だけど、これがまた物語の終盤で、ジョニーに直接言わないんですけど、録音機材にその質問の答えっていうのを言録音するんですよ。
で、ここでいいなと思ったのは、これはジェシーがジョニーの言ったことを記憶してたっていうところ。
ずっとジェシーの頭ん中にあったんでしょうね、ジョニーの言葉が。
それで、ジョニーとずっとコミュニケーションをとってきて、やっと自分なりの言葉としてその質問の答えを出すことができた。そしてさらにおまけもつけて。
なのでこの映画では記録の素晴らしさと、後はもう1つ記憶の愛おしさとでもいうんでしょうか。記録は変わらないからいいよね。
そして記憶はもしかしたら変わってしまうかもしれないけど、それはそれで何かこう記憶を持っていること自体が生のもの?生き物っぽくて愛おしいような感じがしましたね。
今大切なもの
すごく丁寧に言葉を綴り、対話を重ねていく作品でした。
でも、ジェシーとジョニーが最後すごく仲を深めていくところを見て思ったのは、1番大事なのは、そばに居られることなんじゃないか、ということです。
確かに、言葉を尽くすことも大事です。だけど、例えばあの時のあの台詞が少しでも違ったら2人はうまくいかなかったかといえばそうではない気がします。
じゃあもし、2人が近くにいなかったら?同じ対話を重ねても、あれほどうまくいかなかったのではないか。
すごく言葉を大切にしているその先に、そばに居られることの大切さをすごく感じた作品でした。
今回は映画『カモン・カモン』について綴ってみました。次回は『恋は光』の予定です。以下に「次に鑑賞するなら」を並べてありますので、よかったらご覧くださいませ。
次に鑑賞するなら
宇多田ヒカル『BADモード』
こんな方におすすめかも
- 君に会いたい、絶好調でもBADモードでも。
『違国日記1』ーヤマシタトモコ(著)
こんな方におすすめかも
- 対話することでいつか何かが芽生えたら。